ここまで誰にも断ることなく入って来てしまっていたので,誰かいないかと建物を覗くが人の気配はない.建物の上の方を見ると山が続いており,遙か上に事務所のような建物があり車が停まっていて人がいそうな様子.このまま無断で見物する訳にも行かず許可を求めに山を登ることにする.一段登るとまた広場があり,なぜかセメントで舗装された上には貨車や鉱車が数十両整然と放置されている.気になったが後でゆっくり見ることにして事務所へ.
事務所には操業停止後の処理をしている業者と思われる人が1名おり,突然の来訪(侵入)者に戸惑いを隠せない様子である.正直に見物に来た旨を告げると「見るのは構わないが危険なので気を付けてくれ」とのこと.帰る際にもう一度立ち寄ることを約束し来た山を下る.先程の放置貨車を写真に収める.鉱車だけでなくタンク車・長物車・平貨車・その他様々な車両がコンクリートの上に放置と言うよりきちっと留置されている.雰囲気からして以前ここにもレールが敷いてありヤードか何かだったに違いない.ふと見ると山肌に坑道があり,古い感じがしたが坑道の出口にレールが見える.こちらの坑道はもう使ってはいないようだった.レールも出口で途切れていた.
放置車両を見て,先程のヤードに戻る.ヤード中央には数両の貨車と保線機械のような車両が置いてある.レールの上以外にもタンク車や無蓋車が散見できる.どれも赤く錆びており,長らく使っていないようだ.明かりの点いている坑道は入れば入れそうだが,さすがに危険であり先程の許可の範囲外と解釈して覗くだけに留める.
その坑道の所からヤードと反対側に線路が分岐して,事務所の裏に続いている.そこは車庫になっていて,白と黄緑に塗られた人車が多数留置してある.1から12まで番号が大きく書いてあり,時折行われる地下施設(*10)の見学にでも使われているのだろうか.その他にも木造の小さな人車やバッテリー機関車・貨車が300メートル程の細長い車庫に散在している.「人車のりば」と書かれた場所があるがホーム等はない.沿線には補修用の工具や坑内用の電球付きヘルメット,無線機の充電施設等があった.その車庫は建物の端まで続いていた.
車両を1両1両カメラに収めていく.それは夥しい数である.施設の規模といいそこに存在する車両といい,初の鉱山訪問の筆者にとっては狂喜乱舞の状況であった.
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丘の上からヤードを望む.手前の建物が事務所と車庫.
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車庫の中の人車.
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事務所の中にあった鉱物の標本.この地で採れる鉱物が,特徴や用途等の説明付でまとめられていた.
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こちらの人車は新しい.同型車が12両あり,車体に番号が大きく書いてあった.
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上の広場の隅にあった坑道の入り口.よく見えないが線路が頭を出している.
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