廃線めぐりT
北 海 道
T−1 三菱石炭鉱業(1987年7月22日廃止,清水沢−南大夕張7.6km)
 私鉄と云っても,北海道では既にその存在は過去のものとなったが,その遺構はまだ道内の至るところに見ることができる.
 三菱石炭鉱業鉄道は,夕張線清水沢と南大夕張との間約7.6Kmを結んでいた運炭鉄道である.道内最後の私鉄として働いていたが1983年に廃止された.ディーゼル機関車が,車内にストーブをのせた元国鉄の旧型客車を牽くことで有名だった.
 北海道旅行の途中たまたま時間があいたので,清水沢を訪ねた.2月の終わりであたり一面雪に覆われ,JRの線路の脇にある空き地が,かろうじてその跡であることが確認できるくらいであった.他には何もなかった.終点南大夕張は,恐らく炭鉱跡や街ともども廃虚と化していることだろう.

1−2 太平洋炭礦(1989年?廃止,釧路市)
太平洋炭礦専用線を訪ねたのは1992年3月初旬であった.廃止後かなりの時間が経っていたが,釧路市郊外の春採湖に近い丘の上には,まだ線路や施設,車両などが放置されていた.数年前まで,軌間610mmの線路の上を,細長い電気機関車が何両もの炭車を引いて街の中を走っていた.
 高い丘の上には,炭鉱から運んできた石炭を炭車から降ろす設備があり,複線の線路はここでループになっていて,列車は機関車を付け替えることなく折り返して行った.赤く錆びた架線柱が何本も立っている.
 元はヤードだったのだろうか.線路を辿っていくと,いくつもの側線に何両かの炭車が置いてある.「教育訓練車」と側面に書かれた車両もある.何に使っているのだろうか.
 もう動いていないのかとあきらめていると,近くに,昔この鉄道のメンテナンスを行っていた電気会社の工場があり,ここで今でもトロッコやバッテリー機関車が働いているというのである.すぐにその工場を訪ねた.すでにはがされてしまった線路もあったが,構内には機材を積んだトロッコが至るところに置いてある.残念ながら,バッテリー機関車が動いているのを見ることはできなかったが,保存などではなく,実際に働いているトロッコに出会ったのはこれが初めてであった.

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