小湊鉄道(千葉県市原市)


 2009年9月18日/キヤノンEOSKissX3

 昨今,鉄道趣味界のみならず一般にも広く知られるようになった小湊鉄道である.
 筆者が当鉄道を初めて訪れたのは今から17年程前の1992年.当時は今のように鉄道もブームにはなっておらず,当鉄道もテレビ放送の広告等に使用されるなどして一部に知られてはいたが,訪れるのはまだまだ一部の愛好者のみであった.
 その後も10年程前に知人と房総を回った際に訪れたが寄り道をした程度で,本格的な訪問は17年振りとなった.
 前述の通りブームに乗って多くの来訪者があるものと予想され,それを避けるために平日に訪問することとした.
 前夜に車で出発し,沿線にある道の駅で1泊,そこから徒歩で最寄りの上総山田から乗車した.1日全線乗り放題の乗車券を購入,上総山田から下り列車に乗り,まずは上総鶴舞で下車.ここは「日本の駅100選」にも選ばれた雰囲気の良い駅で,小さな木造の駅舎と適度に広い構内が何とも言えない郷愁を誘う.
 しかしここ上総鶴舞で何をするでもなく,構内をうろついたり線路やホームでくつろいだりしながら1時間半後に来る次の下り列車を待つ.
 当駅発11時34分の養老渓谷行き列車は,現在は「懐石料理列車」となっている.これは,列車内で懐石料理を楽しむことができる企画で,好評とのことである.当鉄道には珍しい3両編成で,前の2両が「会場」になっている.一般旅客は最後尾の1両に乗車する.但し当鉄道の乗降ホームは最大2両になっているようで,終着の養老渓谷でも最後尾車両の扉は開かず,車両前部の扉を車掌氏が手動で開閉していた.
 養老渓谷で再び1時間20分程の列車待ち.駅構内や周辺を探索する.駅前はロータリーになっているが特に商店街などはなく,バスの発着場のみ.名勝である養老渓谷は駅から徒歩でも行けるようだが,今回は観光が目的ではないので残念だが断念.その代わり,駅に併設して足湯があり,しばしそこに浸かる.1回200円を発券窓口支払う.列車イラスト入りタオル等のオリジナル商品も揃っており,特にタオルは確か1枚300円とお買い得だ.
 心地良く足湯に浸っているといつの間にやら乗車予定の列車の到着が近付く.十分に温まった足で上総中野行きの列車に乗る.終点までの1駅だが,当線の列車は大半が観光地である養老渓谷止まりで,終点まで行くのは容易でない.車内は観光客もなく閑散としている.約7分で到着.
 ここ上総中野は終点と言ってもその先にも鉄路は続いていて,国鉄木原線から転換された第3セクターのいすみ鐵道がレールバスを運行する.筆者は乗車したことはないが,こちらも風光明媚な路線と聞く.接続する便は30時間後の発車とのことで,まだ列車は姿を見せていない.筆者達は同じく30分後に折り返す上り列車に乗車する.
 今度は途中下車せず起点の五井まで約1時間15分の乗車.五井では車庫があるが,車両の顔触れは17年前とほぼ変わっていなかった.ただ,車庫には自由に入れなくなっていて,蒸機には出入りできるようになっていたが,キハ5800は奥に仕舞われていて良く見ることができなかった.16時丁度発の下りで再び上総中野へ.乗り放題乗車券をふんだんに使う.
 辺りは曇り空も手伝って段々と薄暗くなり,上総中野に着いた頃にはほぼ真っ暗になっていた.そう言えば17年前も同じ便でここに来たような気がする.あの時は春の雨が降り肌寒かったのを憶えている.どうも筆者はここには天気に恵まれないようだ.今度はすぐ接続するようで隣のホームにいすみ鐵道の黄色いレールバスが客待ちをしていた.筆者達は数分の折り返しで上総中野を離れる.
 この時間の上りは通学客が乗り降りする他は乗客は余りなく,閑散とした車内は夕刻の寂しさを醸し出している.勿論対向する下り列車は帰宅する客を満載して過ぎて行く.18時14分上総山田着.筆者達は暗闇に包まれた田舎道を歩き,車を置いてある道の駅に向かう.帰り掛け,通り道に近い海士有木に立ち寄った.有人駅だが,発券業務は終わっており切符を求めることはできなかった.この後,市原に住む知人と夕食を共にし,帰途に着いた. 

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小湊鉄道
上総山田駅舎.
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上総山田駅出札口.
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ひなびた雰囲気の上総山田のホーム.
小湊鉄道
駅舎を線路側から.この日は外壁の塗装が行われていて周囲にはシンナー臭が.
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構内に進入する上り列車.
小湊鉄道
構内には何本かの側線が残るが,本線以外は草生してしまっている.
小湊鉄道
旧貨物ホーム.
小湊鉄道
見事に草生した線路.天気の良い日に寝転がってみたらどうだろうか.
小湊鉄道
 
小湊鉄道
構内を望む.
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使われていないホームは生け垣の如し.
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変電所として使われていた建物が木々に囲まれて佇んでいる.
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旧変電所の内部.
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駅の裏手にある貨物倉庫(跡?).
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放置の2軸平貨車.
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草に埋もれた車止め.
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軌道内に小さな松が.
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待合い中2本目の上り列車が到着.
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特別編成の下り列車.
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「懐石料理列車」の室内.
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珍しい3両編成で疾走する.全て同型車両故美しい編成だ.
小湊鉄道
季節になれば見事であろう藤棚.
小湊鉄道
養老渓谷に到着.懐石料理を楽しんだ大勢の乗客はバスで養老渓谷へ.
小湊鉄道
一般の乗客が乗る最後尾の車両はホームに収まらず扉も手動で開閉.
小湊鉄道
整備中の「懐石料理列車」内.
小湊鉄道
堂々たる3両編成.
小湊鉄道
養老渓谷の駅舎.
小湊鉄道
同じく駅舎内.
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ホームに屯する猫達.どうやら駅長や駅員ではないようだ.
小湊鉄道
駅前からはバスが発着.左の東屋は足湯.
小湊鉄道
線路越しに見た駅舎.
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構内遠望.
小湊鉄道
構内を出るとすぐに勾配に差し掛かる.
小湊鉄道
良い雰囲気の小径が続く駅前.
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終点,上総中野.
小湊鉄道
簡素だが洒落た駅舎.
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上総中野に停車中のキハ.左のホームはいすみ鐵道線.
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上り列車内より.どこだったかは失念.
小湊鉄道
五井のホーム.
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五井駅.
小湊鉄道
車庫を俯瞰する.中小私鉄でこれ程に同型車ばかりなのも珍しい.
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木造貨車の廃車体.
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車庫の一角に保存されている蒸機達.ここまでは見学が可能.
小湊鉄道
 
小湊鉄道
奥にいて近付けなかったキハ5800.
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上総中野行き列車.
小湊鉄道
終点に近付き,閑散とする車内.
小湊鉄道
いすみ鐵道のレールバスと並ぶ.
小湊鉄道
秋の夕暮れに佇む上総中野駅.
小湊鉄道
往路の列車待ちで過ごした上総鶴舞.
小湊鉄道
下り列車と交換.
小湊鉄道
上総山田にて.
小湊鉄道
 
小湊鉄道
立ち寄った海士有木(あまありき).

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