井笠鉄道(兵庫県姫路市)


 1994年3月/キヤノンEOS630QD

 旧井笠鉄道の7号機関車が,兵庫県姫路市の某パチンコ店敷地に保存(というか放置)されている.
 岡山の知人を尋ねるついでに行ったのだが,その知人が実は旧井笠鉄道の沿線である井原市の七日市(同名の駅があった)の出身・在住であったので知人も興味を持ち,それではと姫路城との組み合わせで訪れた.
 3月の平日,姫路城や姫路の街並みを見物した我々は,姫路から山陽本線の列車に乗って英賀保で下車し,このコッペル7号機が鎮座しているという場所に向かった.
 この存在を知ったのはもう20年以上も前の「鉄道ファン誌」での『行き倒れ機関車』の特集記事であった.この記事によると,初めはやはりこの近所の畑の真ん中に農業用具を仕舞う小屋の代わりとして置かれていたようであったのが,その後転々としてパチンコ店のマスコットとしてしばらくは店頭を飾っていたとのことであった.しかし時は流れ,そのマスコットも錆び付いてスクラップ寸前の状態となり,取り敢えず店舗敷地(駐車場)に置かれて現在に至っているのであった.
 当時はまだこういった物件の情報も少なく,また情報源も限られていたため,筆者が得ていたのは「(国鉄)英賀保駅周辺のパチンコ店」という曖昧な情報のみであった.
 しかし,そこはさほど苦もなく見付かった.国道沿いの比較的大きな店であった.国道から店舗の脇を入る広大な駐車場の最も奥に,コッペルはいた.
 駐車場の,本当に隅に置かれたコッペルは「ホリデー号」と名付けられてマスコットキャラクターの図柄を両側面に描かれ,しかし錆び付いたまま華やかさとはほど遠い姿でアスファルトの上にあった.金網を挟んですぐ隣は民家や植木畑である.知らなければ,全く気付かれない場所だ.
 訪れた時は既に陽も傾き,滞在したのはほんの小一時間であったが,周囲は静かで,白昼夢のような記憶が残っている.
 その後このコッペルは店舗の名称や経営者が変わってもこの位置に忘れ去られたかのように(いや,本当に忘れ去られていたのかも知れない)鎮座し続け,このまま朽ち果てるか屑鉄として処分されるかと思っていたが,2003年に長野県は野辺山に引き取られ,綺麗に整備されて現在に至っているとのことである.
 なお,「ヤフー!地図」の航空写真を見ると,この位置にこのコッペルと思われる姿を確認することができる. 

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井笠鉄道
広大な駐車場の本当に片隅に置かれた井笠鉄道7号機.
井笠鉄道
錆びてはいるがそれ程に酷い状態ではない.
井笠鉄道
 
井笠鉄道
まさに住宅地の中の蒸機.
井笠鉄道
現在は安住の地を得,動態保存の噂もあるという.

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