日本セメント日高工場専用鉄道(埼玉県日高市)
2005年6月/キヤノンEOS630QD
仕事で数年間住んだ埼玉県西部にある日高という田舎町に,大きなセメント工場があった.つい数年前まで操業を続けており,そこの専用鉄道もその世界では有名であったようだ.
仕事でこの近くを通るとこの専用線に出くわすことも多くいつも気になっていた.しかし筆者がこの地に住み始めた時には既にその使命を終えた後で,動いている姿を見ることはなかった.
この専用線については多くの専用線愛好家が紹介しているので,ここでは最近の姿をご覧いただくことにする.昨年(2005年)夏の模様である.仕事中に,と言うより,ここを訪れるためにわざわざこの街に用事を作ってカメラを持って出かけた.当日は小雨降る梅雨の1日であったが,筆者としてはこのような鉄道の情景には雨を好むので好都合ではあった.
日高,正確には川越線・八高線の高麗川付近にこの鉄道はある.駅構内を出ると市街地とも言えぬ薄い繁華街の裏手を抜け,田畑の間を縫って工場の敷地内に至る.工場は高台にあり,そのため途中から築堤となりそのまま工場に入ってしまう.高麗川から分岐してすぐのところに踏切もあり,地元の知人によると,以前は貨車を連ねたセメント輸送列車がDLに牽かれて道路をゆっくりと横切っていた光景を良く目にしたという.筆者も,その光景を写真若しくは実際に見た憶えがあるのだが,はっきりと思い出せない.或いは夢まぼろしであろうか. この日は勤務時間中とあって時間をかけて訪問した訳ではなく,車で沿線を早周りした程度に過ぎない.車で線路跡に極力沿って泥道を走ったり袋小路に入ったりしながら撮影した.線路の残るヤードでは何となく立ち入ってはならないという雰囲気があり,線路を辿って奥に入りたかったが不法侵入でお縄になっても困るので垣間見る程度に止めた.実際人のいる気配もしていた.
この時以外にもこの付近には時折来る機会があり,線路跡もそうだがこの一帯は筆者の心情に大変合う情景が至る所にあった.取り立てて何がある訳でもない,ありふれた農村地帯だ.しかし何故か筆者の心を捉えて放さなかった.それまでにもついつい仕事中に散策したりもした.このような場所が自分の生活圏内に存在することが魅力でもあった.
この時は,仕事の都合でこの地を離れるということで訪れた.離れると言ってもそう遠い場所に移る訳ではない.行こうと思えばドライブ気分で訪れることはできる距離だ.しかし,もう「生活圏内」とは言い難くなってしまった.
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工場と高麗川駅間に残る橋台.
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橋台から工場方を望む.
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橋が架かっていたと思われる位置には民家が.
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築堤の両側にはこのような空間が残る.鉄道用地であろうか.
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築堤上に線路はなく,草むした道床に配管が敷かれていた.
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2本の架線柱?の向こうが橋台.民家の屋根が見える.
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橋台を反対側から見る.右の黒はシャッターの不調によるもの.
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鉄道の施設の一部と見られる.
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短い橋が残る.
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ヤードであろうか,この前後は線路がそのまま残る.
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ヤードも広い築堤の上にある.
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建物も残っている.奥にあるのは残念ながら車両ではなくトラック.
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