銚子電気鉄道(千葉県銚子市)


 2009年12月5日/キヤノンEOSKissX3

 昨今の鉄道ブーム,そして赤字関連の話題ですっかり有名になった感のある当鉄道は,隣県にありながらその途方もない遠さにこれまでも1度しか訪れたことがなかった.今回は初回以来約20年振りの訪問となった.
 詳細に関しては今更語るまでもないので割愛するが,前回訪ねた1990年代初頭には既に完全なる観光路線化が進められており,その時点でも最早地元の足というより鉄道全体が観光施設その物であった.今や当地名物となった「ぬれ煎餅」も20年前に既に販売されてはいたが,まだまだ大変地味な商品であった.
 それから20年,当時廃止された岡山の下津井電鉄の如く観光化を目指してみたものの力尽きて廃止…という末路を辿るものと思っていたが,幾度かの危機を乗り越えて(いや,危機は常に?)存続している.近年のブームが折良く追い風となったのは言うまでもなかろう.
 今回は房総への観光の折に訪れた.車での行程であったので起点の銚子ではなく外川から乗車してみる.
 外川は観光とは無縁と見えて前回とほぼ同じ佇まいであった.駅舎内に鉄道用品が展示されている他は観光臭のする物はなく,この鉄道の本来の面影を残している.しかしやって来た列車は,相変わらず上辺だけの「レトロ」を無理矢理に演出した塗色で,以前あった脈絡のないゴリラのマークは消えてはいたものの,客寄せピエロの如き違和感を漂わせている.ただ,車両の入れ替えによりこの客寄せピエロは数を減らしており,代わりにやや派手だが一般的な塗色の旧日立電鉄の車両が入るなど落ち着き出した感もある.
 留置中の「澪つくし号」を横目に外川を発車,次の犬吠で観光客がちらほら乗って来る.この先銚子までは途中で乗り降りする人も少なく,やはり地元の足としての役割は殆ど担っていないのだと実感する.銚子ではJRとの乗り換え口としてやはり観光施設その物と言える張りぼてに近い駅舎が建っているが,色褪せて場末のラブホテルの如き佇まい.そのまま折り返して車庫のある仲ノ町へ.
 醤油工場に囲まれた狭い敷地に車庫と工場がある仲ノ町では,派手な空色に何かのキャラクターが描かれたデハ1001と,インチキレトロ塗色のデハ701,それに当鉄道のマスコットであるデキ3が休んでいた.また工場では元伊予鉄道の車両が改修中であった.苦しい経営とはいえ新たな車両を投入するなど,積極経営が功を奏しているようである.
 再び下り列車に乗車し犬吠へ.今回購入した1日乗り放題の乗車券には「ぬれ煎餅引換券」なる特典が付加されており,これを使うべく犬吠で下車する.構内の窓口でぬれ煎餅を受け取る.これは世辞なしで美味である.増収への貢献のつもりで商品を別途購入する.なお,犬吠の駅前には旧型車両の車体が2両ほど置かれレストランか何かに使われているようだが,肝心のその店舗は定休日か閉店したかで開いてはいなかった.
 やがてやって来た上り列車には大勢の観光客が乗車し,単行の列車は超満員で発車して行った.観光バスでの団体であろうか,銚子観光に当鉄道が組み込まれているようだ.筆者らはその次に来る下り列車で外川に戻り,銚子を後にした.

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銚子電気鉄道
銚子方の踏切から外川の構内を望む.
銚子電気鉄道
古き佇まいの外川駅舎.
銚子電気鉄道
外川駅舎内.
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「澪つくし」の説明板.
銚子電気鉄道
日立からやって来た車両.笠上黒生にて.
銚子電気鉄道
車内の様子.
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「銚子の旅」ステッカー.
銚子電気鉄道
各駅案内.観光・愛好者向けか.上段の掲示物に注目.
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銚子のホーム.
銚子電気鉄道
銚子の駅舎.
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銚子の駅舎(JR側).
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デキ3とデハ701.仲ノ町車庫にて.
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「桃太郎電鉄」塗装のデハ1001.
銚子電気鉄道
改修中の元伊予車.
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車両工場.
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誰が使っていたのか「ラビット」型スクーターと展示中の転轍機類.
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雑然とした工場内.
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社用トラック.
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社用トラックの後部に「ゴリラ」マークが.
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仲ノ町に進入する列車.
銚子電気鉄道
仲ノ町駅舎.
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留置されているピカピカの元伊予車.笠上黒生にて.
銚子電気鉄道
 
銚子電気鉄道
 
銚子電気鉄道
綺麗に塗り直されたは良いが窮屈そう.
銚子電気鉄道
線路脇に置かれている重機.車輪付きで線路上を走るのであろうか.
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重機と同じ場所に置かれている車輪.
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良い雰囲気の笠上黒生の構内.
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同駅舎外観.
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同駅舎内部.
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笠上黒生にて.
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大勢の観光客が乗車.犬吠.
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犬吠の駅前に置かれている廃車体.
銚子電気鉄道
廃車体と犬吠の駅舎.
銚子電気鉄道
デハ702.往年の地方私鉄車両を彷彿とさせる色分け.外川.
銚子電気鉄道
外川に到着したデハ801.
銚子電気鉄道
引退が近いのであろうか.
銚子電気鉄道
「澪つくし号」とデハ702.
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外川の線路終端部.周りは港町の佇まい.
銚子電気鉄道
外川の踏切から銚子方を望む.

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