廃線めぐりX
関 西 ( 1 )
X−1 加悦鉄道(1985年廃止,丹後山田−加悦5.7km)
 加悦鉄道といえば,加悦駅の「加悦SL広場」が有名である.明治生まれの2号機関車や木造2軸のマッチ箱客車など,貴重な車両が駅の構内に保存展示されている.
 この加悦鉄道は,沿線の特産品であるちりめんを輸送するために敷設された.戦後は大江山で採出されるニッケルを運ぶのが主な使命であったが,1985年の宮津線貨物輸送廃止のあおりを受け,その年の4月末限りで姿を消した.
 1992年11月の初め,天の橋立を友人と共に訪れ,その帰路に加悦を訪ねた.以前は丹後山田と称した,北近畿タンゴ鉄道宮津線の野田川でバスに乗り換え,しばらく行くと加悦駅前に着く.
 時刻はすでに19時を過ぎており,駅の出札口でSL広場の入場券を求めると,「よくこんな時間に来るねェ」と不思議な顔をされてしまった.
 時間も遅く,次の下りのバスで野田川に戻らねばならないためゆっくり見物する暇もない.ともかくも,そこにある車両のすべてをカメラに収めるだけで精一杯であった.
 国鉄の客車を改造し晩年は当鉄道の主力となっていたキハ083,木造2軸のフハ2・21,木造ボギーのハ10,片ボギー気動車キハ101,元芸備鉄道キハ51,大江山ニッケル所属のDC35,森製作所で蒸機を改造したDB201,元国鉄のC57やキ160など,今では貴重となった車両達が保存展示されている.キハ51は庫の中でお色直しの最中で,きれいに塗り直された白とオレンジの車体がまぶしい.
 同行の友人といえば,客車や機関車のデッキに昇ったりして楽しんでいる.折角なので,DB201のデッキに上らせ,写真のモデルになってもらう.さらに友人は放置してあった保線用軌道自転車?に乗り操縦を試みたが,重くて動かなかった.
 短い訪問であった.バスの発車時刻が近づき,先程の窓口の人に一言お礼を言ってバスに駆け込んだ.次はもっと早い時間にゆっくり見学したい.

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